世界を救う協力者になろう!SDGsに通じる近江商人の「三方よし」の精神とは?


近年、あらゆる場面で目や耳にするようになった「SDGs(エスディージーズ)」。国際社会共通の目標として、2015年の国連サミットで採択されたこのSDGsは、「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されており、世界中の誰一人取り残すことのないよう、先進国と途上国が一丸となって達成すべき持続可能な開発目標を掲げています。実はこのSDGs、よくよく内容を見てみると、滋賀県民にとても馴染み深い近江商人の「三方よし」の精神に共通する部分が多くあるのです。そこで今回は、SDGsに通じる、日本経済の礎ともなった「三方よし」の精神をご紹介します。

近江商人を大成功させた、「三方よし」の精神とは

近江商人とは、戦国時代末期から江戸時代にかけて近江国(現在の滋賀県)から、全国を行商して歩いた商人たちのことです。天秤棒一本を肩に、近江産の蚊帳や麻布、茶や紅花などを売り歩きました。日本には、当時、大坂商人や伊勢商人などさまざまな商人が活躍していましたが、今でもとりわけ近江商人が一目置かれる理由があります。それが「三方よし」の精神です。「売り手よし 買い手よし 世間よし」。売り手や買い手がともに満足し、さらには社会貢献にもなる商い。近江商人たちは、この心構えを日々実行するため、自らは質素倹約を心がけ、人が嫌がることを進んで行いました。結果、全国にたくさんの得意先ができ、薄利多売でも長期的に利益が出る仕組みが構築され、やがて豪商へと発展していったのです。

今こそ企業も個人も「三方よし」の精神を。世界の課題解決に貢献しよう!

大気汚染や地球温暖化、発展途上国と先進国の格差など、今世界は大きな課題をいくつも抱えています。SDGsが採択されたことにより、特に企業は、二酸化炭素を排出する、海を汚す、安い人件費で働かせるなど、これまで世界の課題を生み出す加害者側だった立場から、課題を解決する協力者となるよう、まさに三方よしの精神「売り手や買い手がともに満足し、さらには社会貢献にもなる商い」が求められるようになりました。そして、これは企業だけでなく、個人一人ひとりにも呼びかけられています。冷蔵庫の生鮮品をよく腐らせていませんか?電気をつけっぱなしにしていませんか?さまざまなものを使い捨てていませんか?そんな小さなことでも地球を救う一助となります。さぁ、今こそ「三方よし」の精神を見直して、世界の課題解決に貢献しましょう。

 <まとめ>

いかがでしたか?近江商人たちは家名や家業の繁栄や継続を願い、それまでに培った「三方よし」の精神を家訓として残していたといいます。近江商人は長きにわたり豪商として代を繋ぎましたが、決して奢ることなく富を得た分その財産に見合った社会貢献をしなければならないという教えを貫いたそうです。近江商人の思いや教えは、近江八幡市にある国の重要文化財、旧西川利右衛門宅(旧西川家住宅)などでも触れることができます。滋賀が世界に誇る「三方よし」の精神を、みなさんも日々の暮らしにぜひ取り入れてみてくださいね。